テレビ山梨番組審議会だより

第544回 番組審議会議事要録

開催日時
5月20日(火) 午後3時
開催場所
山梨県立やまなし地域づくり交流センター  大会議室
委員の出席

委員の総数 8名
出席委員数 8名

【出席委員氏名】
安達 義通  委員長
泉田 友紀  副委員長
浅川  徹  委員
佐藤  弥  委員
杉田 真一  委員
手島 俊樹  委員
伏見  彩  委員
堀内 麻実  委員

【放送事業者側出席者】
原田由起彦   代表取締役社長
金丸 康信   相談役
鈴木 淳郎   常務取締役
駒沢 克昭   取締役報道制作局長
岩﨑  亮   報道部長
番組審議会事務局

番組審議会
審議事項
「テレビ山梨開局55周年記念特別番組
  証言~オウムと山梨30年目の真相~」


対象日 2025年3月22日(土)
15時00分~15時54分
審議、意見の概要
●地元局ならではの多様な切り口や迫力ある映像があって良い番組だ。

●当時のメディアのオウムの報道のあり方についての検証があったほうが良かったのではないか。

●最初に惹きつけられたのはナレーションだった。「情熱大陸」の方だが山梨県出身で、ただ有名だから使ったという感じではなくしっかり意味を持たせていて、番組を本気で作っているのが伝わってきた。

●特に印象に残ったのは保護された53人の教団信者の子どもたちの様子や児童相談所の職員の話だ。今も宗教2世という話題がある中で、その切り口でもっと興味を持つ視聴者は多いのではないか。ぜひそこをテーマにした続編が見たい。

●当時山梨県に暮らすたくさんの方が巻き込まれた事件で、風化させることなく伝えていくことも今後大事だと感じた。

●ジャーナリストの江川紹子さんの解説が適宜入っていたので、当時のことを知らない世代の視聴者にも、すごくわかりやすい作りになっていたと思う。

●子どもたちの当時の日記は、「早くオウム真理教に帰りたい」などと書かれた、すごく拙い子供らしい文字が映し出されて、マインドコントロールの根深さ、幼い子どもに与えた大きな影響を感じさせた。

●江川紹子さんの取材は、この団体や事件を知らない世代にも概要を伝えたいという意図ではとても良かったが、この30年間にもたらしている社会的な問題や今の団体の実態などを専門家の視点で丁寧に聞きたかった。

●陰湿で非道な事件でありながら、わずかながらも子どもたちの未来に一筋の光を感じ取れるように編集されたのは、とても救いがあったように思った。再現映像もとても効果的だった。

●当時関わった方々の証言をいろいろ織り込んで、多角的に問題を捉えようとしたことはわかるが、もう少し整理してもよかったと感じた。

●取材者の感想を挟まなかったのがかえって良かったんじゃないか。当事者の話が中心で、現場で何があったのかを知れたのが一番大きかった。それを知った上で、自分たちがどう判断するのかを考えなければいけないと思う。

●村が信者の住民票転入届を受理しなかったのはすごく大きいことで、よく拒んだなと思った。また、児童相談所による子どもの強制隔離は、一時預かりで長期間何人も、親の承諾もなくやるのはすごいことで英断だったと思う。

●地元住民は早く忘れ去りたいという思いもあると思うが、それでもやっぱり残さなきゃいけない事実もある。

●膨大な記録映像から何を取り出してどう編集するかは非常に難しい作業だったと思うが、観る者に訴えかけるものが随所に盛り込まれていて、番組制作者の意図を伝えるという点で映像の構成も良かった。

●「事件の真相に迫る」と表現されていたが、「真相」というと知られていなかった真実が明らかになる印象を受けるが、証言で留まっていてそこまでは踏み込まれていなかったように感じた。

●制作者が期待していた通りのコメントが取れないこともあるだろうが、良いコメントをもう少し引き出す努力はできたと思う。もったいなかった。

●なぜ上九一色村に10棟近いサティアンを建設されてしまったのか、なぜ止められなかったのか、もっと追求して欲しかった。国の制度の問題なのか、都市計画上の不備の問題だったのか、私有財産制度の穴を突かれたのか。行政は何をしたのか?当時の報道でそれに対して止められる努力をしたのかを検証してもよかった。地方自治を守るために、あのときに何ができたのか、街を守るために何ができたのかを教訓としてあの番組を作れば、今後にも活きる話になった。何か教訓を残して欲しかった。


以上