テレビ山梨番組審議会だより

第521回 番組審議会議事要録

開催日時
2023年2月17日(金) 午後3時
開催場所
山梨県立やまなし地域づくり交流センター   大会議室
委員の出席

委員の総数 8名
(書面の提出をもって出席 2名)

【出席委員氏名】
今井  久  委員長
大塚 貴司  副委員長
大島わかな  委員
織田久美子  委員
弦間 正仁  委員
斉木 邦彦  委員(書面)
藤井 秀樹  委員
堀内 洋子  委員(書面)

【放送事業者側出席者】
原田 由起彦  代表取締役社長
金丸 康信   相談役
鈴木 淳郎   常務取締役
横打  恭   編成局長
岩﨑  亮   開発事業部長
番組審議会事務局

番組審議会
審議事項
「ワタシ桑ノ集落再生人~限界集落で挑戦した11年~」

対象日 2022年12月30日(金)
16時30分~17時30分
審議、意見の概要
●ハンさんの桑茶へのバイタリティーと熱意を軸としながらも、限界集落、廃る養蚕業、地方再生など、日本が抱える社会問題も映し出していた。

●小学校5年生だった長田さんが中学生になって桑郷で働きたいという夢を語り、その後地元の農業生産法人に就職し、ハンさんとは別の道に進んだという人生模様は、10年以上取材したからこそだと思う。

●ハンさんのドキュメンタリー番組は過去に3回制作したそうで、それらを見た人にとっては、序盤、前半は既視感が生まれないかと心配になった。導入部分は今のハンさんから入るなど、もう少し工夫する余地があったのかもしれない。

●ハンさん自身の人間力とパワーがある。頑張っている人や命や生活を懸けて物事に取り組んでいる人は、もうその人を見ているだけで感動を呼ぶので、ハンさんを取材対象に選んで追いかけていること自体がもう勝ちだと思う。

●番組の序盤で、ハンさんが桑の葉茶の効能について話す場面があったほうがよかった。効能についてもっと知りたいし、序盤に桑の葉茶の素晴らしさについて触れたほうが、ハンさんが頑張る理由がわかってよかったのでは。

●長年の取材を1時間にまとめるのは難しかったと思うが、時系列を追ってわかりやすく編集されており見やすかった。ディレクターとのやり取りにも信頼関係を見て取れるようで、親近感を覚えた。

●取材当初に熱く夢を語っているシーンがあったが、11年後の今、その夢が叶ってさらに新しい未来への一歩を踏み出した、ハンさんのサクセスストーリーは爽快で、「前を向いて歩こう!」という希望を感じさせてくれた。

●できれば5年後、10年後のハンさんも見てみたい。限界集落がその後どのように変わっていったのかにも興味がある。どんな影響があったのか、集落から見た視点もあると面白いのではないか。

●ハンさんの豪快で人間味あふれる姿やあたたかい人柄がよく伝わった。

●フィリピンのパンパンガ国立農業大学には、2018年に山梨県知事もトップセールスの一環として訪問している。桑郷も同行する中、桑の木の記念植樹を行い、同大学から知事に外国人としては初の名誉博士号が授与された。番組の中でこのことを取り上げていなかったのは少し残念だ。

●1歳になった長男が桑の葉を持つ姿。ハンさんが長男を抱いて歩く後ろ姿。これは番組のラストにふさわしく、映像も音楽ともにとても素晴らしかった。

●ハンさんの生き方の原点は、彼の新工場開設の記念式典での挨拶にあると思う。挨拶の中にあった“至誠”と“志”という言葉は、まさに彼の生き方そのものではないかと思う。

●この番組では、人の死というものもしっかり見つめられている。いずれの方の奥様も、温かい姿でハンさんに接していて、ハンさんが彼らにとって素晴らしい人間であることがうかがえ、印象的だった。また死と同時に、我が子の出生というイベントも感動的に描かれていた。

●過去の番組とのダブり感はあったが、今回の番組はこれまでの総集編という位置づけで作られたのかなと感じた。

●自分の記憶や経験と重ね合わせて番組を見る、これはパソコンやスマホなどで見る映像とは大きく異なる、テレビならではの利点だと思う。

●桑の栽培を教えてくれた長田さん、農業を志す少年、組合長の小林さん、フィリピンの大学長など、様々な立場の方々の思いと、それに対するハンさんの感謝の気持ちとが丁寧に織り込まれ、また大切な言葉には字幕が付され、「見てよかった!」というのが視聴後の感想だ。

●一年の終わりに見るドキュメンタリーとして、新しい年に向けて大いなる希望を感じた番組だった。

●ドキュメンタリーこそは、人の生き方、考え方に与える影響は大きいと思う。志を持ち、夢を果たす為にどう生きるか、まさに自分との戦いである。出会いは多い。ハンさんはこれらの出会いを何ひとつ無駄にしていない。
苦しみ、悲しみ、そして喜びを共に味わうことで、自らの心を豊かにしている。ハンさんからは人として求められるところを感じ取る事が出来る。

●ありのままの現実を肉付けやデコレイトせずに、むしろより絞り残す事で内容が凝縮され、視る人には分かり易く伝わり、深い印象付けが出来る。
加える事より減らす勇気が大事だと考えている。人間としての原点を見、人に不可能は無いことを沁み込ませてくれた素晴らしい時間で、密度の濃い1時間だった。


以上