テレビ山梨番組審議会だより

第471回 番組審議会議事要録

開催日時
平成30年1月15日(月) 午後3時
開催場所
テレビ山梨本社 会議室
委員の出席

委員の総数 8名
出席委員数 8名

【出席委員氏名】
今井  久 委員長
河西 八郎 副委員長
井上 康明 委員
長田由布紀 委員
小松万知代 委員
藤巻 宏和 委員
八巻佐知子 委員
杉森  純 委員

【放送事業者側出席者】
金丸 康信 社長
川村 文彦 専務取締役
原田由起彦 専務取締役
松田 俊幸 常務取締役
水石 和仁 取締役報道制作局長
平岡  豊 役員待遇編成局長
中込 信行 報道部記者
番組審議会事務局

番組審議会
審議事項
ウッティ発!「トンネル事故はなぜ起きた」
  ~笹子遺族の5年とインフラ老朽化対策~
審議、意見の概要
●遺族の中日本高速道路に対する考え方と行動、それに対する中日本高速道路の対応、それと今後の安全に対する対応、再発防止を念頭に組織罰の法制化を目指す活動、最後に、老朽化に対する自治体の対応と、起承転結といえる番組構成で非常に良かった。報道特集として非常に良く出来た番組だった。

●「笹子トンネルリフレッシュ計画」を取り上げていたが、天井板の老朽化が進んで、少なくとも危険性を感じていたために、天井板を撤去する必要があったかどうか、ということについて、ナレーションで触れてほしかった。もし、危険性を感じていたならば、非常に大きな問題だと思った。

●高度経済成長期の建造物が何十年という時間を経て老朽化し、そこに危険が生じている事実を訴える。事故があった地元の放送局としてその姿勢を示す、意義のある報道だった。我々一人一人が被害者になる可能性がある、喫緊の課題だということを示していた。

●中立的な立場で報道番組として作られた素晴らしい番組だった。5年たった今でも、遺族の怒りは癒されていないということを十分に受け止めた上で、その遺族の心に寄り添うことができた取材だった。

●組織罰とインフラのメンテナンスについて、社会的課題の基本的な情報と、現状で抱えている課題が焦点化して描かれていてわかりやすかった。

●再発防止に向けた社会的、政策的課題を提示した点で、非常に意義深いと思った。重要なテーマがそこにあることを見逃してはいけないので、まさにタイムリーだと感じた。

●犠牲者「9人」のうち番組で取り上げたのは「5人」というのが、何か事情があったのか、と思った。

●CMについて、スポンサーの事情はあると思うが、タイトルが「遺族の思い」としつつ、CMで「初詣」「初笑い」というのが何回か出て来たので、気になった。

●せっかくの番組を知らなかった、見られなかったという人もいると思うし、多くの人に見ていただきたいので、HPに載せるとか、山梨発で全国に発信するとか、機会があれば、安全意識向上に向けてうまく活用されればいいと思う。

●自治体のインフラメンテナンスの課題は、山梨県全体のことと、2市の課題を取り上げたのは良かったと思うが、不安だけを流されて怖い、という感覚だけが残った。どうしていくのかが問題なので、税金をどう配分をするのかとか、国が研修する制度を作るべきとか、専門職を雇うべきとか、もう一歩踏み込んで「どうしていくべきだ」というのがあると、社会に訴えていくべきという視点が伝わったと思った。

●生前の犠牲者の動画、遺族のこれまでの活動などが映像化されることによって、改めて、突然、命を奪われる事故の悲惨さが伝わってきて、これはテレビの報道の持つ強みが出ていた番組だと思った。

●番組の趣旨である「遺族の思いに寄り添う」というのは十分に成立していたと思うが、その一方で、遺族の思いに寄り添う、というところが、若干、遺族に引っ張られ過ぎた、という面もあるんじゃないかと感じた。

●原因究明と責任追及の区別が曖昧になっているところが感じられた。

●トンネル工事の責任者の「工事は無茶だった」というコメントについては、一方的で根拠に欠ける発言をそのまま流していて、ちょっと印象操作になりかねないと思った。もし、このコメントを使うなら、もっと根拠を示すか、第3者のコメントがあってもいい。

●タイトルが「なぜ起きた」より「責任」に特化した方がよかったと思ったが、「考えさせる」ことの良い問題提起をしてくれたと思う。


以上