■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成13年6月1日 掲載

危険な、不整脈を誘発する薬


山梨医大医学部助教授 杉山 篤
(テレビ山梨サイエンス振興基金第10回受賞)

 「QT延長症候群」と呼ばれている病気があります。この病気は心電図検査においてQT時間が延長していることからこのような診断名がつきました。
 不整脈によって起こる反復する失神発作がQT延長症候群の主症状です。最悪の場合、不整脈が回復しないことによって突然死を起こします。
 最近、臨床の現場で実際に使われている抗ヒスタミン薬、抗生物質、消化管運動促進薬、向精神薬、抗不整脈薬などの薬物の中に、このQT延長症候群を引き起こす可能性のあるものがいくつも見つかりました。ただし、これらの薬を飲めば誰もが発症するわけではなく、ある素因をもった人だけに不整脈が起こります。
 これまで、このような反応性を前もって予測する手だてはありませんでした。しかし、遺伝子研究の進歩によって、SNPといわれる遺伝子多型を参考にしながら、治療薬を選択できる時代が近づいています。