■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成13年4月13日 掲載

医薬品と化学物質の併用には要注意


山梨医科大学 金子 誉
(テレビ山梨サイエンス振興基金第7回受賞)

 現在、私たちの身の回りには、さまざまな化学物質がはんらんしています。家庭内環境汚染によるシックハウス症候群が近年注目されるようになりましたが、その他、農薬などによる食品汚染、プラスチック製品からの環境ホルモンの溶出、ごみ焼却に伴うダイオキシン類の発生、塩素系有機溶剤の地下水汚染、職場での有害化学物質の使用、そして医薬品の服用などがあげられます。
 しかしながら、これらの化学物質の曝(ばく)露による人体への複合影響に関しては、まだ十分解明されていないのが現状です。
 私共の研究室では、動物実験において、ある種の糖尿病治療薬と解熱鎮痛剤(副作用として肝障害が発生する)や塩素系溶剤(肝毒性が強い)を同時に投与した場合、これらの物質の毒性が増強することを発見しました。
 これは糖尿病治療薬の服用によって誘導された肝臓の酵素がこれらの物質の代謝を高進し、その結果生じた活性の高い中間代謝産物が毒性を引き起こすためと考えられています。
 その他にも、種々の組み合わせの医薬品と化学物質の曝露によって、このような現象が起こる可能性が示唆されています。不必要な"くすり"の服用はしないことをお勧めします。