■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成13年3月30日 掲載

水晶の歴史を蘇らす


山梨学院大学 十菱 駿武
(テレビ山梨サイエンス振興基金第1回受賞)

 水晶は山梨の特産品であり、宝飾の町甲府のシンボルである。水晶は金峰山系の向山、黒平、乙女坂、八幡、竹森から産出し、大きくて透明、白色の六角柱の結晶が採掘された。
 武田信玄が水晶を愛用し、江戸時代に御岳金桜神社で水晶磨きが始まったことは有名だが、私たち山梨学院大考古学研究会の「水晶原産地集落の考古学研究」によって、水晶の歴史は2万年前の旧石器時代にさかのぼることが分かった。
 1990年のUTY助成によった塩山市乙木田遺跡では、約4500年前の縄文時代水晶石器加工址を初めて発掘し、近くの竹森水晶山の水晶を鏃や錐に加工したことを明らかにした。続いて甲府市黒平遺跡群では旧石器・縄文早期・中期の各期に水晶石器を使用していたことが明らかになった。
 須玉町大柴遺跡では縄文の環状配石遺構に水晶を供えた跡をつかんだ。さらに丹波山村高尾成畑遺跡では、大菩薩山系の水晶が敷石住居で用いられたことをつかんだ。
 1989〜2000年の継続的なテーマ調査と、各市町村の支援によって、山梨の原始人が水晶を多様に加工利用してきたことが明白になってきた。
 研究成果は調査概要や県市町村史で公開し、TV番組や山梨学院50周年展示会などで普及している。今後、日本、世界の水晶標本や古墳時代の玉、中世・近代の水晶製品とあわせて、「水晶文化展」を山梨や他県の博物館で巡回展示し、水晶を通じて山梨の文化を発信していきたいと、ジャパン通信情報センターと企画を準備している近況である。