■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成13年3月23日 掲載

風邪薬の「葛根湯」に強心作用


山梨医科大学 杉山 篤
(テレビ山梨サイエンス振興基金第10回受賞)

 漢方薬と西洋薬の併用は新しい治療法として期待が寄せられています。最近増加している循環器疾患の治療においても、西洋薬を主剤として漢方薬を補助剤に使う場合や、急性期には西洋薬を、慢性期には漢方薬をそれぞれ使う場合があります。また、心不全の軽症例や中等症に対する補助薬剤としての評価もされています。
 薬は体に取り込まれて作用するわけですから、西洋薬と同様に漢方薬もその作用機序を認識したうえでの使用が望ましいと考えられます。しかし、漢方医学の診断・治療の手法は西洋医学と異なるため、意外にもその薬理作用は十分に検討されていません。
 最近、疾病の治療に臨床の現場で実際に用いられている漢方製剤の心臓におよぼす効果を評価したところ、風邪薬としてよく処方されている葛根湯をはじめ、防己黄耆湯、通導散や三黄瀉心湯に、強心作用が観察されました。
 このように、作用機序の観点から個々の漢方薬の使用目的を明らかにすることは、他の漢方薬あるいはいわゆる新薬との併用効果や副作用を理解するうえで貴重な情報を与えるものと期待されます。