■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成13年3月2日 掲載

癌と免疫


山梨医大 河野 浩二
(テレビ山梨サイエンス振興基金第7回受賞)

 日本人の三人に一人が癌で亡くなる現代において、さまざまな治療法が試みられているが、いまだ、癌がんを撲滅する夢の治療法は登場していない。そのなかで、免疫療法という、一般医療としてはまだ定着していない治療法がある。
 従来の免疫療法といえば、その多くは、マスコミなどで取り上げられるいわゆる民間療法であり、懐疑的な印象が強い。実際に、医学的根拠はほとんどなく、その効果も疑問視されるものが多い。
 しかしながら、近年の免疫学の進歩により、生体には本来、癌を攻撃する免疫監視機構が存在し、癌は、この監視機構を巧みに逃避しながら増殖することが判明してきた。
 つまり、この逃避するメカニズムを何らかの方法で制御すれば、免疫監視機構で癌が排除されることが成り立つ。現在、この論理的背景のもと、医学的根拠を伴った免疫療法が試行されつつある。
 現段階では、その効果は不十分であり、夢の治療になる道のりは険しいが、期待される治療法と言えるかもしれない。