■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成13年2月16日 掲載

脳の目的?


山梨大学 西村 克史
(テレビ山梨サイエンス振興基金第4回受賞)

 最近の研究で脳の目的を「脳の目的は情報を選択しその情報を処理するための仕方を獲得することである。従って、人の生きる目的はどれだけのことを成すかではなく、高きに向かって進んでいく努力のプロセスにある」と定義しています。
 脳は、まず目や耳や鼻などから情報を得て、次にその情報をさまざまな形に処理し、そして行動や感情として処理結果を出力します。この処理の仕方を獲得することこそが、脳の特徴であり、コンピュータの真似できないところです。
 ある課題を解決することを考えてみましょう。まず課題を目や耳で認識し、次に問題点などを見出しその解決策を考え、解決方を文字や声として出力しますね。ここで脳の目的は、課題を入力した後、その問題点を考えたり解決策を考えたりすること自体なのです。結果の出力は、目的ではなく処理の仕方を獲得するための手段に過ぎないのです。
 つまり、コンピュータの得意とするような正しい計算結果を速く多く出力することは大事ではなく、問題の解決方をああでもないこうでもないと考えること、すなわち解決しようと努力することが大切だということです。
 さて、皆さんの生き方は脳の目的に叶っていますか? 結論は出さないでくださいね。だって、叶っているかどうかを考えること自体が目的ですから。