■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成12年9月8日 掲載

孔で集積回路は高速に


帝京科学大学 内田 恭敬
(テレビ山梨サイエンス振興基金第6回受賞)

 集積回路(LSI)の中で信号を伝えるのには、トランジスタのゲートと呼ばれる部分に電子をため、そのたまった量でトランジスタは0か1を判断しています。
 LSIを高性能化するのに今までは、トランジスタを小さく作りさえすればよかったのですが、このやり方がそろそろ通用しなくなってきました。
 これは、トランジスタの大きさが微細化したことでトランジスタ自体に必要な電子の量は少なくなりましたが、今まで無視していた配線部分に必要な電子の量が相対的に大きくなったためです。
 ここに必要な電子の量をできるだけ少なくできれば、微細化のメリットが十分使え、高速なLSIが作れます。そこで電子をためにくい材料を配線部分に使うということで、注目を浴びている材料の一つが空気です。
 実際には、LSIの中で配線を行うため、スポンジのような多孔質材料を用いる研究が最近盛んに行われています。この研究が進めば、外からは見えませんが、近い将来あなたの使っているパソコンの心臓部は孔だらけのLSIかもしれません。