■サイエンス基金受賞者による「なるほどサイエンス」■

平成12年6月23日 掲載

癌に対する免疫の話


山梨医科大学 長沼 博文
(テレビ山梨サイエンス振興基金第6回受賞)

 血液の中にあるリンパ球には、細菌やウイルスなどの異物を認識するTリンパ球があります。癌を異物として認識するTリンパ球があるかというと、ちゃんと備わっているのです。
 このことは、悪性黒色腫でよく研究されていて、患者さんでは、腫瘍抗原を認識できるTリンパ球が血液の中にあることがわかっています。
 血液中のTリンパ球はおよそ10万個ぐらいの抗原を認識できる能力を持っていると言われていますが、そのほとんどはその抗原に出会ったことがなく、抗原に出会ったことのある状態のリンパ球はせいぜい百個くらいではないかと言われています。
 ところが、癌患者さんでは、過去に癌抗原に出会ったことのあるTリンパ球がほとんど無いか、あってもわずかだということがわかってきました。
 最近では、癌抗原も少しずつわかってきていて、癌抗原を投与すると、癌細胞を殺せる能力を持ったTリンパ球が増えるということがわかっています。
 また、外から与えた癌抗原にどのくらい反応するか評価できるようになってきていて、癌に対する免疫療法もゆっくりですが進歩しています。