テレビ山梨番組審議会だより

第530回 番組審議会議事要録

開催日時
1月19日(金) 午後3時
開催場所
山梨県立やまなし地域づくり交流センター 大会議室
委員の出席

委員の総数 8名
出席委員数 7名
(書面の提出をもって出席 1名)

【出席委員氏名】
今井  久  委員長
大塚 貴司  副委員長
織田久美子  委員
弦間 正仁  委員
斉木 邦彦  委員(書面)
藤井 秀樹  委員
堀内 洋子  委員

【欠席委員氏名】
大島わかな  委員

【放送事業者側出席者】
原田 由起彦  代表取締役社長
金丸 康信   相談役
鈴木 淳郎   常務取締役
水石 和仁   常務取締役報道制作局長
浅川 博仁   報道部記者
番組審議会事務局

番組審議会
審議事項
①「テレビ山梨放送基準」の一部変更について
②「ベトナム経済発展の光と影
~さまよう6000人の技能実習生~」

対象日 2023年12月29日(金)
11時20分~11時50分
審議、意見の概要
①放送基準の一部改正について
●日本民間放送連盟の放送基準が一部改正されるのに伴い、テレビ山梨放送基準の一部改正を審議会に諮問し、「妥当である」との答申があった。これを受け、同日、テレビ山梨は放送基準を2024年4月1日付で改正することを決定した。

②「ベトナム経済発展の光と影
~さまよう6000人の技能実習生~」について
●経済発展を遂げているベトナムとの経済交流も大事だが、人材としての技能実習制度の問題点に対する理解はそれ以上に重要である。

●日本の最大の問題は、国籍が異なる外国人も同じ住民、外国人住民であるということの理解、多文化共生に対する理解が不足しているということだ。人口減少や少子高齢化が急激に進む中において、外国人の力を借りなければ今後の日本が立ち行かないと考えている。そのためには、国内経済に寄与する外国人観光客、インバウンドや、労働力不足を補う外国人人材だけではなく、日本人と同じように暮らしている生活者としての外国人への理解を深めることが不可欠だが、ここが足りていないことをもう少し強調して欲しかった。

●何に焦点を絞るのかがあいまいで、全体として何を主張したいのかがわからなかった。放送時間の制約はあったとは思うが、日本ベトナム国交樹立50周年記念特番であり、さらに県とクアンビン省との姉妹友好締結もあるので、そういう面も取り上げて、もっと時間をさければ良いと思う。一方、逆に限られた時間であれば、技能実習生の失踪問題にフォーカスを当て、その問題の根源を深堀してもよいのではないか。

●ベトナムの、真の光が何であり、影が何であるのかと、何が問題なのか、私たちにもわかるように提示していただきたい。

●家族のためにお金を稼ぐ目的の彼らには、安い賃金での単純作業は耐え難い仕事であると思う。不満が犯罪になるのはあまりにも悲しいことだと感じた。

●たとえ言葉は通じなくても、受け入れる側で意識を変えて、彼らが生きるための手助けという気持ちで接すると、彼らが自信をつけるきっかけになるのではないだろうか。心は通じるものだと思う。

●国交樹立50周年に加え、11月24日に外国人技能実習制度のあり方を検討する政府の有識者会議が最終報告書をまとめたという大きなニュースがあったので、タイムリーな放送だった。

●来日するために120万を払ったということだったが、ベトナムのブローカーなどを取材できればさらに番組に深みが出たのではないか。

●ベトナムの低所得者の現状についてのインタビューで、「健康上の問題から働けず、内職での生活が厳しい」と語っていたが、これは技能実習生のテーマと異なり、どちらかというと社会保障の問題かと感じた。日本に働きに出て、格差を脱却したいという若者の視点をもっと聞きたいと感じた。

●技能実習生を解雇した企業側の直接の声は聞けず、ナレーションでの説明にとどまった。移籍や帰国を希望していたということだったが、監理団体との話し合いが不足している様子も示されていたので、監理団体側からのインタビューがあれば、より明確になったのではないか。企業側にもやむを得ない事情があったかもしれないので、両者からの意見が聞きたかった。企業側の回答を聞いた上での技能実習生自身の感想も聞きたかった。真相がはっきりしないままで終わると後味の悪さが残った。

●技能実習制度は今日本としても非常に問題意識を持ってやっていることであり、山梨の事例に注目して取り上げるのは問題意識としてはいいとは思う。ただ、もう少し丁寧な説明や絞った説明をしたほうが良かった。番組内での説明が足りないと日本人からも誤解を受けてしまったり、ベトナム人からも好印象を持たれなかったりするのでは。

●ベトナムの経済発展の光と影、という趣旨の中で、山梨県の輸出拡大に向けての取組や姉妹友好県省の締結など、大きく関係があるとはいえ、色々な要素が入り込み、趣旨が見えにくくになっていないかと感じた。

●日本語の理解が不十分のまま来日し、雇い入れる会社の側もそれなりの事情があるだろうし、孤立してしまった技能実習生の置かれた状況は、誰が悪いのでもなく制度上の課題が大きいと思う。この課題が新たな育成就労制度でどう変わるのか。技能実習制度の課題は明らかになったが、これからどうなるのかの説明がもう少しほしかった。

以上