テレビ山梨番組審議会だより

第494回 番組審議会議事要録

開催日時
2020年5月18日(月) 書面提出日
開催場所
書面提出のため会議場所は無し
委員の出席

委員の総数 8名
出席委員数 8名

【出席委員氏名】
今井  久  委員長
中條  学  副委員長
久保嶋正子  委員
高橋 由美  委員
土屋 幸治  委員
豊前 貴子  委員
松谷 荘一  委員
向山富士雄  委員

【放送事業者側出席者】
原田由起彦 代表取締役社長
鈴木 淳郎 常務取締役
松田 俊幸 常務取締役
水石 和仁 報道制作局長
山口 充洋 編成局長
青木 美菜 アナウンサー
番組審議会事務局

審議事項
テレビ山梨開局50周年記念特別番組
「葡萄と風と赤とんぼ」
放送日 令和2年3月28日(土)16時~16時54分
審議、意見の概要
●「甲府赤とんぼ少年少女合唱団」の存在とその活動を知って、素晴らしい取り組みであったと感じた。「形あるものはいつかなくなってしまう。しかし、その想いはいつまでも受け継がれる」ということが伝わってきた。

●雨宮紙店もなくなり、合唱団もなくなり、形あるものは無くなったが、卒団生の今のそれぞれの環境に応じて、形を変えて、真弓さんの熱い思いは確実に引き継がれている。「大切なもの」は、形あるものではなく、目に見えないものだ」と、この番組を見て感じた。歌の持つ力は大きい、色々なものを乗り越えて、同じ思いを共有できると感じた。

●番組は山梨の音楽史をたどる上において、極めて貴重な映像とテーマであり、見応えのある特別番組だった。雨宮真弓さんという一人の教育者で音楽家の活動を中心にした「甲府赤とんぼ少年少女合唱団」の存在とその活動の全貌は、まさに純粋でロマンに満ち溢れた、記念特別番組にふさわしい内容だった。

●高齢のため藤沢の老人施設で暮らす彼女を、団員達が解散式の報告で訪れるシーンでは、合唱を聞いた後に見事な覚醒を見せたことは、彼女の音楽や合唱に対する強い魂の叫びのようでもあり、大きな驚きと感動を禁じ得なかった。

●時代は変わってもイズムというものはいつまでも人々の心に残っていくという番組の主題ともいえるものが最後に見えてくるという見事な番組構成だった。素直に拍手を送りたい。


●番組全体の感想を一言で言うなら「感動した」という言葉以外に思い浮かぶ言葉がない。それほど、番組の題材、取材力、構成、どれをとっても素晴らしいと感じた。

●質の高いドキュメンタリー番組に仕上がっていた。主人公とも言える雨宮真弓さんの生き様、歌と子供たちへの愛情と情熱、そして、世界に目を向ける先見性に、すっかり魅せられてしまった。

●「歌はコンクールに出るものではない、歌は競うものではない、歌に国境はない」という言葉は、複雑さを極める今の世界情勢だからこそ、今一度、胸に刻むべき言葉だと思った。

●合唱団に所属していた団員が今も終末期医療の現場で音楽療養士として働く姿が紹介されたが、人を育てるということは、ただ作品を残すのと違い、次につながる財産を残すことなんだと、そんな思いがした。

●音楽は、進学や勉強には大いなる無駄のように思うが、音楽のおかげで心を通わせることができ、死ぬまで側にいてくれる、ということを改めて考えさせられる内容だったと思う。

●ブルガリア公演に際しては、社会主義の国であったことから不安も多かったと思うが、その実行力には敬服する。歌を通して子供たちに夢と希望を与えたいという熱意の表れであろう。中国でも公演したとのことであったが、こちらは共産主義の国。このような国々を選んだのは国状を超えて子供たちの友情の輪を広げたいとの意思があったのであろうか、知りたいところである。

●雨宮真弓さん、Karnのピアノ、そして「葡萄と風と赤とんぼ」の関係性というか必要性がややぼけた感じを受けた。

●冒頭に出てきた古いピアノがこの番組の内容にどう活かされているのか、どう活かそうとしたのか。確かに歴史のある貴重なピアノで、象徴として使いたいという意図は分かるが、番組では主人公がよく弾いたというくらいで、それがどう合唱に繋がるのかがわかりにくかった。

●冒頭に出てきたピアノとの接点が何となく間接的でぼんやりしていて、どういう意味があったのかな、というふうに感じてしまった。ピアノとつなげなくても十分内容が濃くて良い内容だっただけに、ピアノを登場させるなら、ピアノとの接点はもう少し丁寧に描いていただいた方が良かったのではないかと思った。

●ピアノ(Karn)が壊されていくシーンは、ショッキングだった。戦後の山梨の音楽史をたどる上で、この楽曲とピアノはペアであるべきと思った。廃棄ではなく、なぜ保存の道を探さなかったのか?

                                以上